コォヒィの文学小話

都内大学に通う国文学生が、自身の読書の記録を中心に、「本」に関する話題を書いています。

9月納豆は何よりありがたい

九月になりましたが、本日も最高気温が28度で、まだまだ夏の暑さは続いていきそうです。

しかし待ちに待った食欲の秋到来で、毎日毎日ほくほくしております(笑)。

夏バテで食欲をなくす体質でないこと、これが、私が親に一番感謝していることです(半分本気)。

 

さて、最近知ったのですが、このようなことわざがあるそうです。

 

「9月納豆は何よりありがたい」

(【ことわざからレシピ】9月納豆は何よりありがたい - サラダコスモ公式ブログ)

 

「9月に納豆?」と不思議に思いましたが、この時期(9月~11月)は大豆の旬で納豆も美味しくなり、また、納豆は栄養価が高いですから、繁忙期の農家のスタミナ源として重宝された……ということだそうです。

 

私も納豆は大好きで、一時期は毎日1パックは必ず食べており、親から「茨城県に引っ越せば?」などと言われたものです。

しかし、納豆=茨城県というのは我が親ながら貧困な発想であります(唐突なダメ出し)。納豆にも様々あり、例えばひきわり納豆の発祥は青森県津軽です。

 

青森で津軽と言えば、この土地出身の文豪太宰治も、納豆が大好きだったそうです。

作品でも、納豆に対する愛情が語られています。

 

二十三日。

「妻をののしる文。」

私が君を、どのように、いたわったか、君は識っているか。どのように、いたわったか。どのように、賢明にかばってやったか。お金を欲しがったのは、誰であったか。私は、筋子に味の素の雪きらきら降らせ、納豆に、青のり、と、からし、添えて在れば、他には何も不足なかった。

太宰治「HUMAN LOST」) 

 

納豆に青のりと言うのが面白いですね。

あ、「あおもり」だけに「あおのり」なんでしょうか?

 

…。

 

いやはや、暑さで頭がやられてしまっているようです。

 

それにしても、「HUMAN LOST」の主人公はさも良夫のように振る舞っていますが、「筋子に味の素が……」とあって、いまいち納得がいきません(笑)。当時は筋子は安かったのでしょうか?

 

他にも「おかずは?やはり納豆かね。」(太宰治火の鳥」)など、実は太宰の作品には何度も納豆が出てきています。 
 
秋と言えば秋刀魚の季節で、白米と、秋刀魚、納豆、味噌汁の定食などは定番ですが、秋を旬にする食材ばかりですから、もうこの時期のごちそうと言えそうです(笑)
 
秋刀魚と言えば、太宰と縁の深いあの文豪の好物ですが、それは次回に書くことにします。
 
 

 納豆に関する本でおすすめしたい本がこちら。

 

 

納豆の様に癖がありますが(笑)

 

 

護身用のウイスキー

開高健サントリーの前身である壽屋の社員で、柳原良平とタッグを組んでトリスウイスキーの売り上げに大きく貢献しました。

開高、柳原が生み出したものの中でも、特に、

 

『人間』らしく

やりたいナ

トリスを飲んで

『人間』らしく

やりたいナ

『人間』なんだからナ 

 

というコピーと、アンクルトリスは現在でも有名かと思います。

 

ウイスキーをはじめ、酒を愛した文豪や作家はとても多いです。

しかし、護身用にウイスキーを持ち歩いた……というのは、おそらく横溝正史くらいではないでしょうか?(笑)

 

いつのほどよりか自動車だけはアルコールの必要はなくなった。それでも護身用にとウイスキーのポケット瓶だけは忘れないが(以下略) 

『真説 金田一耕助

 

横溝は乗り物恐怖症で、乗り物への恐怖心を紛らわせるためにウイスキーを飲む、という訳です。

 

しかし、この話を読んだとき、「アレッ!?なんかこの話と同じような話をどこかで読んだことがあるような……」と気づき、少し考えて、「あ、谷崎だ」と分かりました。

谷崎潤一郎の「恐怖」に、次のような場面があります。

 

私はふと一策を案じ出して近所の洋酒屋からスコッチ、ウイスキーのポケット入りの壜をった。そうして、ベンチへれながら、其れをグビリ、グビリと飲み始めた。
酒の力で神経を一時麻痺させれば、大概の恐怖は取り除かれると云う事を、私は此れ迄の自己の経験に依って、迷信的に信じて居た。一番ぐでん、ぐでんに酔拂った揚句、前後不覚になって電車へ乗り込んだら、どうにかした拍子に気が紛れて大阪まで無事に行けるだろうと思ったのである。

 

「恐怖」では自動車ではなく電車ですが、乗り物恐怖症とウイスキーは同じ。江戸川乱歩を尊敬し、乱歩同様に谷崎を愛好した横溝ですが、こんなところで共通点がでてくるとは(笑)

 

私は以前はウイスキーハイボールで飲んでいたのですが、最近は水割りで飲んでいます。横溝も毎晩ウイスキーの晩酌をしていたそうで、勝手に親近感を覚えています(笑) 

 

真説金田一耕助 (1979年) (角川文庫)

真説金田一耕助 (1979年) (角川文庫)

 

 

 

 

 

とろろ昆布で熊を倒す

昨日8月29日はゲリラ豪雨に悩まされた一日でした。

昨日の雨と関係あるのかは知りませんが、現在台風15号が日本に接近しているそうです。

www3.nhk.or.jp

 

台風と言えば、繰り返しになりますがコロッケです(笑)。もう今年何度食べたか分かりませんが、「コロッケの唄」の男性のように嫌になるなんてことはありませんので、当然食べる予定です。

 

しかし、事前に分かっている雨ならばともかく、ゲリラ豪雨には本当に勘弁してもらいたいもの。

実際、昨日も雨宿りがてらドトールに入ることになりました。

以前雨宿りでカフェやファミレス……と書きましたが、私はもっぱらカフェ派で、そしてスタバよりドトール派です(笑)

 

hontocoffee117.hatenablog.com

 

雨と言えば、三島由紀夫に「雨のなかの噴水」という作品があります。

後期(中期から?)の三島はいわゆる中間小説的な作品が多く、これもその種の短篇の一つです。

人を食ったような題名ですが、三島らしく計算された短篇という印象で、意外と好きな短篇です。

 

そんな三島の中間小説的な長編作品に、「夏子の冒険」というものがあります。

高校生以下の夏休みは今日で終わりですから、夏にちなんだ作品を……ということで、この作品を選びました(笑)

 

「夏子の冒険」は角川書店主催の「カドフェス2017」の対象本ですし、映画化もしていますから、知っている方も多いかと思います。

www.kadokawa.co.jp

 

簡単に言ってしまえば、「情熱」の欠けた社会で「情熱」のある男性を求める夏子の物語で、三島が当時何を考えていたかがある意味分かりやすい形で表れています。

 

夏子が「情熱」を認めた男性は、恋人の敵である熊を殺すという決意を持った青年です。

さて、男性は熊を殺すことに成功する訳ですが、その熊を倒す直前の出来事が爆笑もの(笑)。何が面白いかというと、夏子の祖母の次のような行動、発言です。

 

祖母が渾身の力をふるって、お椀ごととろろこんぶを熊の鼻面へ投げつけた。 (略)

 

 「とろ……とろろこんぶを、私がぶつけたので、あの、ひるんで、逃げましてございます。 」

 

札幌土産で持ってきて、宿の女主人に渡したとろろ昆布。女主人の手により食卓にあげられた訳ですが、その食卓を熊が襲います(笑)

そこで夏子の祖母がとった行動が、逃げるでも気絶でもなく「とろろ昆布を投げる」だった訳です(ナンテコッタ!)

 

しかも、実際熊がとろろ昆布にひるんで逃げたのかと言えば、そうではないんです。実は一つ目の引用で(略)とした所に、真相が書いてあります。

 

祖母が渾身の力をふるって、お椀ごととろろこんぶを熊の鼻面へ投げつけた。実は、倒れかけた唐紙へぶつかっただけである。唐紙はとろろこんぶごと、四人の上へたおれてきた。

 

はい(笑)。という訳で、そもそもとろろ昆布は熊にかすりもしていなかったという訳です。

 

それにしても、三島の作品は細部まで作りに作られた作品という印象があるのですが、このとろろ昆布の場面、私には何のためにあるのかさっぱり分かりません(笑)

 

三島ファンの方、研究者の方、是非ともご教授を……。

 

夏子の冒険 (角川文庫)

夏子の冒険 (角川文庫)

 

 

ギョーザのような月

椎名誠に「ギョーザのような月が出た」という随筆があります。記事の名前はその引用です。

 

一般的な餃子の形はおそらく半円をちょっとつぶしたくらいで、言うなれば、太った三日月という感じでしょうか(笑)

 しかし、近年は餃子が多様化しており、味はもちろんですが、形も様々です。

 

例えば、神保町でいちばん人気の餃子屋である「スヰートポーヅ」の餃子は棒状で、皮を完全に閉じていませんし、

getnews.jp

 

千葉県に本店を構える「ホワイト餃子」はまん丸で、一見すると揚げまんじゅうのようです。

www.tokyogyoza.net

 

ホワイト餃子」なら「ギョーザのような月」にあてはまりそうですが(どちらかと言えば「ギョーザのような太陽」でしょうか?)、「スヰートポーヅ」の方はちょっと無理そうですね(笑)

 

上記二つの餃子も、普通の餃子とは一風変わった餃子であると言えますが、世の中にはもっともっと変わった餃子が存在します。

そのような異色の餃子の製作者の第一人者といえば、やはりパラダイス山本になるのでしょうか?

 

餃子の創り方

餃子の創り方

 

 

もはや皮に包まれていれば餃子、といった感じですが(笑)

 

椎名が言う「ギョーザのような月」は空に浮かんでいる月のことですが、ギョーザを食べる時期というものがあります。「ギョーザを食べる月」という訳です(笑)

 

その時期とは中国の旧正月春節)です。ご存知の通り、餃子は中国から伝わった食べ物(中国では主流は水餃子)です。中国では餃子は縁起ものとされているそうで、その理由は中国で清の時代までに使われていた貨幣と餃子の形が似ていることから、新年に食べると金運が上がる言われているからだそう(旧正月は餃子の日|隆祥房 参照)。

 

つまり、本場では「ギョーザは金のよう」という訳です。

 

「ギョーザのような月」、「ギョーザを食べる月」、「ギョーザは金のよう」と、今回は餃子で遊んでみましたが、そのせいか、今無性に餃子が食べたいです(笑)

私はもっぱら焼餃子が好きで、「孤独のグルメ」のゴローさんを真似している訳でもありませんが、酢と胡椒で食べます(笑)。ラー油も時々使いますが、べとべとするので餃子にはあまり使いたくないんです。

 

本当はハイボールと餃子が最高なのですが(笑)、まだ昼ですから我慢して、白米で我慢してこようと思います。

大切なのは今日なのだ!(チャールズ・ブコウスキー)

本日8月16日はアメリカの詩人、作家チャールズ・ブコウスキーの命日です。

 

基本的にこのブログでは日本の作家を取り上げていますが(私が国文学生なので)、私もたまには海外文学も読みます。シェイクスピアチェーホフなんかは大好きですし、エドガー・アラン・ポーも大抵読みました(これは江戸川乱歩関連)。そのほか諸々……。

 

ポーと言えば、どこで読んだか覚えていませんが、アメリカの文学者で優れているのはポーのみであると書いている本(というより人物)がありました。

確かにブコウスキーの作品は文学ではないかもしれません……というより、ブコウスキーの作品はそのような観点から見るべきではない、と思います(笑)。

 

ただただ読んで、作品のインパクトに、ブコウスキーという人間の凄まじさにぶちのめされて欲しい、というのが一ファンの感想です。

 

さて、ブコウスキーといえば何といっても有名なのは酒に関するエピソード。「ブコウスキーの酔いどれ紀行」なんて題名の著作もあるくらい酒好きのブコウスキー、飲みすぎが原因で潰瘍になり、入院したこともあります。

 

ブコウスキーの酔いどれ紀行」でも彼はひたすら飲み続けています。周りの迷惑なんてお構いなし。「自分でこんな事まで書くのか?!」というほど破天荒な内容で、正直素面でなんて読んでいられません。この本を読むときは負けじとこちらも酒を呷りましょう。

 

ただし飲みすぎにはご注意。酩酊したら本が読めませんし、ブコウスキーのように潰瘍を患って入院でもしたら大変ですから(笑)

 

 

さて、ブコウスキーの死後に発表された作品「死をポケットに入れて」は、晩年の彼の日記です。

ここでも彼は自己に忠実に生きている。ダンディというにはエキセントリックにすぎますし、近くにいられたら大迷惑。だけど男としては、どこか惚れてしまう魅力が武功Sキーにはあります。

その「死をポケットに入れて」に、次の一節があります。

 

行動と挑戦の中にこそ、栄光はあるのだ。死などどうだっていい。大切なのは今日、今日、今日なのだ。

 

どうすればいいかわからず、立ち止まり悩むこともあります。面倒になって放り出す時も。しかし、そんな時はブコウスキーのこの言葉を思い出して、自分に発破をかけています。

 

深読みし過ぎだと、ブコウスキーには笑われそうですが(笑)

夏目漱石と野球の苦い関係

今週のお題高校野球

 

今年も例年通り高校野球が開幕しました。

気になる試合としましては、私は東京生まれ東京育ちなので、やはり東京の高校は気になります。今年の東京代表は二松学舎大学付属高校です。昨日行われた秋田代表の明桜高校との試合は14対2と快勝しました。

 

www.hb-nippon.com

 

次の試合は8月17日、相手は香川代表三本松高校です。

私はうどんが大好きなので香川代表も応援したい気持ちはありますが……こればっかりは仕方がない。東京の方を応援させて頂きます(笑)。

 

とりあえず、香川に負けるな!という気持ちを込めて、今日の昼食は讃岐うどんを食べようかと思います(そういえば、東京の讃岐うどん店はどちらを応援するのでしょうか)

 

さて、二松學舍大学といえば夏目漱石に縁のある大学として有名です。

www.nishogakusha-u.ac.jp

 

当時の二松学舎大学は漢学塾だったそうです。

漱石は留学経験が有名で、西洋との関連は広く知られているかと思いますが、実は漢学をはじめ、東洋の学問にも精通していました。

 

例えば、これは思想というより文体ですが、「虞美人草」は漢語をふんだんに使用した美文体で書かれています(私はあまり好きな文章ではありませんが)

 

そんな漱石ですが、実は野球には苦い思いをさせられていたようです。

なんでも人数合わせで呼ばれた野球の試合の際に、急所にボールが……(笑)

 

serai.jp

 

そのことが書いてある上述の記事では、漱石の野球観戦の話も書かれています。

この随筆(「断片」の一節)は岩波版「漱石全集」で読むことができますが(ちくま文庫版には入っていないはずです)、全集を一巻だけ買うというのも何だか奇妙な感じですよね(笑)

 

他には「日本の名随筆 野球」にも収録されています。こちらは漱石以外にも、坂口安吾井伏鱒二小林秀雄宮沢賢治などの野球に関する文章を読むことができます。

 

高校野球のおともに、いかがでしょうか?

 

日本の名随筆 (別巻73) 野球

日本の名随筆 (別巻73) 野球

 

 

串揚げとビールで一杯なんて……(本谷有希子「異類婚姻譚」)

私は単純に味が好きではないので、今までは基本的にビールは飲みませんでした。

 

しかし、最近では変わり種ビールや世界のビールがスーパーで簡単に手に入るようになったので、物は試しと色々飲んでみています。

すると、中には美味しいものもあったりして、案外ビールも捨てたものではない……という気持ちに。

 

f:id:hontocooffee:20170812183344j:image

 例えばこれはメロン風味のビールです。

 

とは言え私の好みに合うビールは値段が高いものばかりで気軽に買えるものでもないので、やはりまだしばらくは、大好きな梅酒とハイボールに落ち着きそうです(笑)

 

ビールやハイボールのおつまみの定番といえば、枝豆、唐揚げ、焼き鳥、刺身など。

私だったら餃子が第一番に来ますが(週に三回は餃子を食べてま)、串揚げもまた外せないかと思います。

 

もともと串揚げは関西の食べ物のイメージですが、最近では串揚げチェーンが増加し、東京など他の地域でも手軽に食べれるようになりました。

 

例えば私が行ったことあるのは「串家物語」という所です(串揚げの店なのに、何故か今抹茶フェアをやっているようです)

kushi-ya.com

 

串揚げはまだ食べたことがないという方でも、串カツなら食べた事があるのではないかなと思います。

揚げたての串カツとビール(ハイボール)の組み合わせ、これはもはや最強でしょう。

昔は串カツの中に入っている玉葱が嫌で嫌で(笑)、中の豚肉だけ食べようと試行錯誤した思い出もあります。

 

芥川賞を受賞した本谷有希子の「異類婚姻譚」の〈夫〉はある日突然料理に目ざめますが、その料理というのが串揚げです。

 

 「揚げたてがいちばん美味しいから」

そう言われ、大皿に積み上げられた揚げものに、おそるおそる箸を伸ばす。少し不格好だが、衣はしっかりキツネ色だ。部屋中に充満していた匂いと音に食欲を刺激されていた私は、きれいに揚がったその衣に塩をつけ、口の中に放り込んだ。

美味い。中まで火が通っていなかったらとおっかなびっくりだったが具材の食感も絶妙で、噛むとサクサクと小気味よい音がする。

 

ここで主人公の〈私〉が飲んでいるのはハイボールとビールです(ただ、主人公はビール派らしい)。ですのでこの場面、呑兵衛にはたまらないものがあります(笑)

 

作中、夫は初めて串揚げを作った夜を〈あげものナイト〉と呼んでいました。

本日は蒸し暑く、身体もダレ気味ですが、〈あげものナイト〉を開催し、英気を養おうかと思います(笑)。

 

「揚げる」本 ([バラエティ])

「揚げる」本 ([バラエティ])

 

 〈あげものナイト〉のおトモに、この本なんていかがでしょう?