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コォヒィの文学小話

都内大学に通う国文学生が、自身の読書の記録を中心に、「本」に関する話題を書いています。

第一五六回直木賞・芥川賞発表に備えて

小説 文学

本日、平成二十九年一月十九日木曜日は、第一五六回直木賞芥川賞が発表されます。思えば、又吉直樹「火花」の芥川賞受賞から今年で二年になるんですね。早いなぁ。

恐れながら国文学生をやっているものとして、発表に先立ちまして、どの作品が受賞するかを考えていきたいと思います。

 

まず、候補作家・作品は次の通りです。作家の略歴について、基本的な事項は、候補作家・作品を参照した公益財団法人日本文学振興会のホームページにありますので、よろしければどうぞ。

直木賞

冲方丁「十二人の死にたい子どもたち」文藝春秋

恩田陸「蜜蜂と遠雷」幻冬舎

垣根涼介「室町無頼」新潮社

須賀しのぶ「また、桜の国で」祥伝社

森見登美彦「夜行」小学館

 

芥川賞

加藤秀行「キャピタル」(「文學界」十二月号)

岸政彦「ビニール傘」(「新潮」九月号)

古川真人「縫わんばならん」(「新潮」十一月号)

宮内悠介「カプールの園」(「文學界」十月号)

山下澄人「しんせかい」(「新潮」七月号)

 

www.bunshun.co.jp

 

 

直木賞候補には、有名な作家が多いですね。それに対し、芥川賞候補には新人作家が多いようです。候補の常連である山崎ナオコーラ島本理生の名前はないですね。(まぁ芥川賞は、本来新人作家に与えられる賞ですから、二人はもう時期を逃したと言えなくもないかと思います。)

宮内は個人的に意外な印象です。思いっきりSF畑の作家だったはずですし、直木賞候補にも選ばれたことがあります。純文学の方向を目指すことにしたのでしょうか…まぁでも、SF×純文学では円城塔もいますし、筒井康隆にもその方向の作品はありますね。

 

主観で言わせてもらえば、芥川賞受賞に値する作品は、近年では本谷有希子異類婚姻譚くらいなものであると思っていて、今回も受賞作ナシと思うのですが、芥川賞直木賞は基本的に毎回誰かに受賞させる精神がありますので、そうもいかない(笑)

ですので、時代性や完成度などを踏まえ、一番ソツのない作品…とすると、芥川賞は、宮内悠介「カプールの園」だろうと思います。意外と言っておいてなんですが(笑)

 

次に直木賞ですが、森見登美彦を赤字にしたのは、個人的に、現代作家でも良い仕事をしている作家であると考えているからです。(詳しくは、そのうちブログに書きたいと思っています。)

 

しかし、今回受賞は厳しいかもしれませんね。その理由は、恩田陸「蜜蜂と遠雷」が、かなりの完成度を持っているらしいということです。(私は恩田作品が嫌いなので未読なのですが)

 

この記事にあるように、作家の朝井リョウが激賞しています。

www.houdoukyoku.jp

 

 

それにしても、ピアニストが主人公というのは、何だか宮本奈都「羊と鋼の森」(文藝春秋)を思い出しますね。(こちらは調律師でしたけど。)

 

付け加えて言うならば、森見作品の真価は夜は短し歩けよ乙女」(角川書店)や「四畳半神話体系」(角川書店のように、ユーモアかつどこか切ない…という所にあると思う訳です。「夜行」は、言うなれば「きつねのはなし」(新潮社)や「宵山万華鏡」(集英社のように、幻想・怪奇小説で、確かに森見は内田百閒を愛読した経験からか、ある程度のクオリティは持っている訳ですけれど、突き抜けた魅力がないんです。それに、選考委員も、以前「夜は短し歩けよ乙女」が直木賞候補になった時、森見を酷評した面々が多いです。作風は違いますが、これはちょっと痛いですね。

 

という訳で、今回は芥川賞は宮内悠介「カプールの園」、直木賞恩田陸「蜜蜂と遠雷」になるのではないかと思います。

 

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森見作品で特に好きな二冊です。