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コォヒィの文学小話

都内大学に通う国文学生が、自身の読書の記録を中心に、「本」に関する話題を書いています。

食べるのが好きな女性が好き!そんな人に贈りたい恋愛文学(武田泰淳「もの喰う女」)

文学 小説 料理 恋愛

今週のお題「恋バナ」

 

私は食べることが好きなので、毎食毎食が楽しみで仕方ないですし、美味しいものを食べに行くのも好きです。

私自身が食べることが好きなのですから、女性の好みも必然的に食べることが好きな人になります。ですが、やはり最近は細身の女性が美しいとされておりますので、食べることを我慢する女性も多い。男性もそうでしょう。

勿論太っているのが良いかと言われれば話は変わりますが(笑)、私としてはややぽちゃっとした位の女性の方が、何だか健康的な感じがして好ましい。ご飯も我慢しないで、食べたいものを食べて欲しいと思います。

 

さて、今回紹介する武田泰淳「もの喰う女」(『田泰淳全集 第二巻』一九七一年六月、筑摩書房)は、私のように食べることが好きな女性を好き!という方々におすすめしたい作品です。

 

主人公の「私」(Tさん)は、弓子と房子という二人の女性と交際しているのですが、「もの喰う女」は房子です。弓子はむしろ「もの喰わぬ女」として描かれています。

 

「食べることが一番うれしいわ。おいしいものを食べるのがわたし一番好きよ」

武田泰淳「もの喰う女」 

 

この言葉が示す通り、房子は実によく食べます。例えば房子がドーナツを食べる姿を姿を「私」は絶賛しています。

 

よく揚った、砂糖の粉のついた形の正しいドオナツを味わっている。その歯ざわりや舌の汁などがこちらに感じられるほど、おいしそうに彼女はドオナツを食べます。 まるでその瞬間、その喫茶店の中には、イヤこの世の中には彼女とドオナツしかなくなってしまったように。

武田泰淳「もの喰う女」)

 

想像するに、実に可愛らしい房子の様子が浮かんでくる場面でありまして、読んでいる私自身、物語の世界に入り、房子と一緒にドーナツを食べたいと思ってしまいます。是非房子の様な女性に出会いたい(笑)

 

この後物語はやや意外な方向に進んでいくのですが、その点は読んでのお楽しみということで(笑)。「もの喰う女」は、純粋に短篇小説としても非常に魅力的な作品でありますので、読むことをおすすめします。

 

 

ちなみに、武田の妻は随筆家として有名な武田百合子なのですが、「もの喰う女」のモデルは百合子であると言われています。つまり武田は私が理想とする女性を手中に収めてしまった訳です。何とも羨ましい(笑)

 

以上、武田泰淳「もの喰う女」の紹介でした。