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コォヒィの文学小話

都内大学に通う国文学生が、自身の読書の記録を中心に、「本」に関する話題を書いています。

ポカポカ温まりそうな”坂口安吾のオジヤ”

文学 料理

今週のお題「冬の寒さ対策」

寒いときは温かいものが美味しくなります

前にも言いましたが、寒くなると温かいものが美味しく感じられます。「冬の寒さ対策」は、まず何より部屋を暖かくし、厚着をするというのが何よりですが、身体の中から温めるには、何と言っても温かいものを身体の中に入れる……、つまり食べることが重要である、と思います。栄養価の高くて、温かいものを食べれば「冬の寒さ対策」はバッチリでしょう。問題は、体重の増加をどう対策するかですが……。

 

雪国出身安吾の”オジヤ”

さて、今回取り上げるのは、堕落論」でお馴染みの坂口安吾が考案した”オジヤ”です。安吾新潟県出身で、太宰治織田作之助と共に無頼派と呼ばれておりました。約二週間後の命日である二月十七日は安吾が開かれており、現在も大変人気のある作家です。

この”オジヤ”、安吾はよほど気に入っていたようで、この”オジヤ”のことを書いた随筆「わが工夫せるオジヤ」の中で、次のように述べております。

 

それ以来一ヶ月半、ズッと毎日同じオジヤを朝晩食って飽きないし、他のオジヤを欲する気持にもならない。

 

「一ヶ月半」毎日食べれる”オジヤ”、これには嫌でも期待が高まってしまいます。

よほど気に入っていたのでしょう。安吾は前掲の随筆の中で、詳しい作り方まで書いてくれています。少々長くなりますが、折角ですので下に挙げておきます。

 

 私のオジヤでは、鶏骨、鶏肉、ジャガイモ、人参、キャベツ、豆類などを入れて、野菜の原形がとけてなくなる程度のスープストックを使用する。三日以上煮る。三日以下では、オジヤがまずい。私の好み乃至は迷信によって、野菜の量を多くし、スープが濁っても構わないから、どんどん煮立てて野菜をとかしてしまうのである。したがって、それ自体をスープとして用いると、濃厚で、粗雑で、乱暴であるが、これぐらい強烈なものでもオジヤにすると平凡な目立たない味になるのである。
 このスープストックに御飯を入れるだけである。野菜はキャベツ小量をきざんで入れる。又小量のベーコンをこまかく刻んで入れる。そして、塩と胡椒で味をつけるだけである。私のは胃の負担を軽減するための意味も持つオジヤであるから、三十分間も煮て御飯がとろけるように柔かくしてしまうというやり方である。
 土鍋で煮る。土鍋を火から下してから、卵を一個よくかきまぜて、かける。再び蓋をして一二分放置しておいてから、食うのである。このへんはフグのオジヤの要領でやる。

 

こんな贅沢なスープで作った”オジヤ”が不味いはずがありませんね(笑)。それに、野菜がたっぷりで栄養面にも優れております。安吾流にはありませんが、ここに生姜を入れてみるのもいいかもしれません。生姜には身体を温めてくれる効果がありますから、「冬の寒さ対策」に更なる効果が期待できます。

 

以上で記事は終わりますが、坂口安吾「わが工夫せるオジヤ」は青空文庫で読むことが出来ます。よろしければどうぞ。

坂口安吾 わが工夫せるオジヤ