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コォヒィの文学小話

都内大学に通う国文学生が、自身の読書の記録を中心に、「本」に関する話題を書いています。

カレーと作家たち④~あれれ?な思い出のカツ◯カレー(辻村深月、向田邦子)~

小説 料理 文学

カレーと作家たち③はこちらです。

hontocoffee117.hatenablog.com

 

本日は金曜日、毎週一度のカレーの日です。

カレーを家で作る際に欠かす事の出来ないものと言えば、やはりと言いますか、当然と言いますか、カレー粉です。

私は、甘口ならバーモントカレーの甘口辛口ならジャワカレーの辛口が好きです。甘いなら甘く、辛いなら辛くあって欲しいということ、そして、何よりこの二種類のカレー粉がずば抜けて美味しいと思うからです。

 

さて、本日は「カレーと作家④」として、辻村美月、そして向田邦子のカレーにまつわるエピソードを紹介します。

 

まずは辻村から。辻村は二〇〇四年に「冷たい校舎の時は止まる」で、メフィスト賞を受賞してデビューしました。そして二〇一二年に「鍵のない夢を見る」直木賞を受賞。その後も本屋大賞にノミネートされるなど、現在人気のある作家です。

「ふちなしの鏡」に収録されている「踊り場の花子」は、辻村の中でも中々の好短篇であると思っております。確か「世にも奇妙な物語」で映像化もされていました。

 

さて、そんな辻村ですが、大学は教育学部であり、教員免許を取得するために、小学校に一ヵ月間教育実習に行ったそうです。

辻村のカレーの思い出は、その教育実習中に食べた”給食”であると言います。

 

中でもとりわけ楽しみだったのがカレーライス。自分自身が小学生だった頃も、カレーの日は朝からそわそわしていたものだ。

辻村深月「初めてのカツカレー」)

 

給食のカレーって、家のカレーとは違った美味しさがありますよね。私も小学生、そして中学生の時、給食のカレーを楽しみにしていたことを覚えております。

 

さて、辻村は教育実習中に運良くカレーの日に当たるのですが、児童によれば、ただのカレーではなくカツカレー。楽しみに給食の時間を迎えた辻村でしたが、不思議なことに、カツがなかったのです。何故でしょう?

 

おかしいな、と再度確認していると、子どもたちがしょんぼりしながら話しかけてきた。「先生、ごめん。カツオだった……」 

辻村深月、同上)

 

残念ながらカツカレーにはありつけなかったようですが、「カツオカレーは肉のカレーより少し甘く、ちょっとハヤシライスのようで、とてもおいしかった」そうです(笑)

 

カツオカレーの思い出は、実は向田にもあります。しかし、こちらはあまり良い思い出ではないようです(笑)

 

 我が生涯の最もケッタイなカレーということになると、女学校一年の時に、四国の高松で食べたものであろう。
(略)そこの家のおばあさんが、「食べたいものをおいい。作ってあげるよ」といってくれた。
私は「ライスカレー」と答えた。
おばあさんは鰹節けずりを出すと、いきなり鰹節をかきはじめた。
私は、あんな不思議なライスカレーを食べたことがない。
鰹節でだしを取り、玉ねぎとにんじんとじゃがいもを入れ、カレー味をつけたのを、ごはん茶碗にかけて食べるのである。
あまり喜ばなかったらしく、鰹節カレーは、これ一回でお仕舞になった。

向田邦子「昔カレー」)

 

恐らく、こちらのカツオカレー(鰹節カレー)は、蕎麦屋風の甘い味ではなく、単純に鰹出汁にカレー粉を加えたものなのでしょう。ちょっと味の想像がし難いですが……向田の様子を見るに、美味しくはなかったのでしょう(笑)

 

私も蕎麦屋のカレーは好きです。

しかし、どうもあまり慣れることが出来ないのが、実はカレー南蛮。蕎麦の風味とカレーの風味が喧嘩しているようで、何だか食べていて妙な気分になってしまいまして……。

 

 

以上で終わります。ちなみに、カレーの日ということで、私はカレーパンを食べました。

特徴的な外見を裏切らず、中々面白い食感でした(笑)

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