コォヒィの文学小話

都内大学に通う国文学生が、自身の読書の記録を中心に、「本」に関する話題を書いています。

文学に扱われた「朝ごはん」② 味噌汁が飲みたい!

 ①はこちらになります。

hontocoffee117.hatenablog.com

 

寒い寒いとは思っておりましたが、まさか雪が降るとは思っていませんでした。

最近、朝起きて、布団から出るのが本当に辛いです(笑)

 

日本の朝食の風景として思い浮かぶものと言えば、まずは白米であり、玉子焼きであり、焼き魚であり……、そして、欠かすことのできないものとして、やはり味噌汁が挙げられるかと思います。

 

冷えた身体には、温かい味噌汁が何とも嬉しいものです。今回は、そんな味噌汁に対する思いを語る作家の声を紹介したいと思います

 

向田邦子は、「刻む音」の中で、次のように書いています。

 

朝、目を覚ますと台所の方から必ず音が聞こえてきた。
母がおみおつけの実を刻んでいる音である。実は大根の千六本であったり、葱のみじん切りであったりしたが、包丁の響きはいつもリズミカルであった。
包丁は、かなり大振りの菜切り包丁である。まな板も、大きな木製であった。
(略)
顔を洗っていると、かつお節の匂いがした。おみおつけのだしを取っているのである。少したつと、プーンと味噌の香りが流れてきた。
このごろの朝の匂いといえば、コーヒー、ベーコン、トーストだが、私に一番なつかしいのは、あの音とあの匂いなのである。

 

この向田の文章は、実に日本の伝統的な朝の風景を描き出しているように感じませんか?

 

味噌、醤油、納豆……は、朝には臭いでしょうか(笑)。しかし、これら大豆食品の匂いは、どことなくなつかしさと言いますか、そういうものがあるように思われます。

向田の文章は、いつも実に単純明快。しかしだからこそ、「ああ、分かるなあ」と、素直に感じ入ることが多い気がします。

 

次に、詩人の山之口獏です。山之口は一九〇三年に沖縄で生まれました。山之口の詩は難解な所がなく、何よりユーモアがあり、読んでいて思わずクスリと笑ってしまいます。是非一度読んでもらいたい詩人の一人です。

 

山之口は味噌汁について、詩集『鮪に鰯』収録の「元旦の風景」の中で、次のように歌っております。

 

正月三カ日はどこでも

朝はお雑煮を

いただくもので 

仕来たりなんじゃありませんか

女房はそう言いながら

雑煮とやらの

仕来たりをたべているのだ

ぼくはだまって

味噌汁のおかわりをしたのだが

正月も仕来たりもないもので

味噌汁ぬきの朝なんぞ

食ったみたいな

感じがしないのだ

 

よもや、正月の雑煮を否定するとは、山之口の味噌汁愛は計り知れませんね(笑)

しかし、私としては、正月は雑煮の方が良いですが……。

 

あ、そういえば、沖縄の味噌汁って具沢山でしたね。沖縄では「味噌汁定食」がメニューとして成立しているくらいですから、それを踏まえますと、山之口の味噌汁愛の強さにも何となく説明がつくような……?

 

 

寒さが憂鬱な季節ですが、逆に言えば寒いからこそ、温かい食べ物が大変嬉しい。身体も温まります。

最近ではインスタントの味噌汁も出ており、手軽に飲むことが出来ますので、是非朝食の追加の一品に、味噌汁はいかがでしょうか?