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コォヒィの文学小話

都内大学に通う国文学生が、自身の読書の記録を中心に、「本」に関する話題を書いています。

村上春樹の作品と食

明日二月二十四日は、村上春樹の新作長編「騎士団長殺し」発売日です。

www.shinchosha.co.jp

 

 

既に重版がかかっているそうです。相変わらず絶大な人気があります。

(※しかし、書店に行ったら普通に陳列されていましたけど……(笑))

 

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

 

 

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

 

 

 

私はあまり村上作品は好きではないので、今のところ購入予定はありません。それに、「書下ろし二千枚」とあっては、気軽に手も出ませんし(笑)

 

しかし、折角話題になっていることですので、今回は村上と食について取り上げようかと思います。

 

 

ところで、読書中、皆さんは何か食べたり、飲んだりすることをどう思いますか?

私は本を汚したくないので、出来るだけ避けているのですが、例えば長編小説なんかを読んでいる際には、どうしても何か食べたり、飲んだりしたくなります。

 

例えばそうですね……”クッキー”とか。それと、”コーヒー”もあったら嬉しいですね。

 

でも僕はためしにチョコレート・クッキーを皿に盛って出してみた。加納クレタはそれをおいしそうに四個食べた。僕もクッキーを二個食べ、コーヒーを飲んだ。

村上春樹ねじまき鳥クロニクル」) 

 

ちょっと無理やりでしたかね(笑)

作品は、読売文学賞を受賞した長編作品ねじまき鳥クロニクルです(何も関係ないと思いますが、「ねじまき鳥」と聞くと、つい「ドラゴンクエスト」を連想します)。

 

食べやすいとは言っても、”クッキー”を食べるとどうしても手が汚れてしまいます。一々拭くのも面倒くさい……。それでしたら、”ドロップ”などはいかがでしょうか。

 

ポケットからレモンドロップを取り出し、包み紙を開いて口の中に入れた。仕事を辞めたのを機会に煙草をやめたのだが、そのかわりレモンドロップを手元から離せなくなっていた。「レモンドロップ中毒」と妻は言った。

村上春樹ねじまき鳥クロニクル」)

 

 

面白い作品は、ついつい時間を忘れて読みふけってしまうものです。「騎士団長殺し」を読んでいたら、気付いたら真夜中……なんてこともあるかもしれませんね。

こういう時はお菓子だと物足らないもので、かといって真夜中にあまり食べ過ぎるのも気が引けます。そうですね……”サンドウィッチ”などは、最適かもしれません。

 

実は村上作品には、実に多種多様なサンドウィッチが出て来ます。例えば、先ほどから引用している「ねじまき鳥クロニクル」なら、”トマトとチーズのサンドウィッチ”です。

 

僕は台所に立ってパンを切ってバターとマスタードを塗り、トマトのスライスとチーズをはさんだ。そしてそれをまな板の上に載せ、包丁で半分に切ろうとしていたのだ。

村上春樹ねじまき鳥クロニクル」) 

 

デビュー作であり、群像新人文学賞を受賞した風の歌を聴けでは、”レタスとソーセージのサンドウィッチ”です。

 

彼女は裸の まま起き上がり、冷蔵庫を開けて古いパンをみつけだし、レタスとソーセージで簡単なサンドウィッチを作り、インスタントのコーヒーと一緒にベッドまで運んでくれた。

(略)

「芥子はなかったわ。」

「上等さ。」

村上春樹風の歌を聴け」)

 

「1973年のピンボール”椎茸とほうれん草のサンドウィッチ”羊をめぐる冒険野間文芸新人賞受賞)の”チースのサンドウィッチ””チーズと胡瓜のサンドウィッチ”や、豪華なものでは「螢」”ロースト・ビーフ・サンドウィッチ”など、他にも多種多様な”サンドウィッチ”があります。

 

このように、頻繁に”サンドウィッチ”を作品に出す村上ですが、谷崎潤一郎賞受賞作世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランドでは、”サンドウィッチ哲学”のようなものも披露しています(笑)

 

 私はソファーに対するのと同じようにサンドウィッチに対してもかなり評価の辛い方だと思うが、そのサンドウィッチは私の定めた基準線を軽くクリアしていた。パンは新鮮ではりがあり、よく切れる清潔な包丁でカットされていた。とかく見過されがちなことだけれど、良いサンドウィッチを作るためには良い包丁を用意することが絶対不可欠なのだ。どれだけ立派な材料を揃えても包丁が悪ければおいしいサンドウィッチはできない。

村上春樹世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」)

 

ちなみに、この場面で「私」が食べているのは、”キュウリとハムとチーズのサンドウィッチ”で、後の文章を読むと、”マスタード”、”レタス”、”マヨネーズ”も入っていることが伺えます。

 

”サンドウィッチ”の多種多様性は、”サンドウィッチ”という料理の自由性に因していると思います。つまり、パンさえあれば、中身は冷蔵庫の残り物で大丈夫な訳ですから、これは、夜食に大変都合が良い(笑)

 

 

もしかしたら「騎士団長殺し」にも、”新作サンドウィッチ”が出てくるかもしれません。内容より、むしろそちらが楽しみな気もしています(笑)

 

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装丁は好きなのですが、内容は……(笑)