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コォヒィの文学小話

都内大学に通う国文学生が、自身の読書の記録を中心に、「本」に関する話題を書いています。

寒い日には、やはりラーメンでしょう(米澤穂信「激辛大盛」「箱の中の欠落」)

文学 小説 料理

ここしばらく過ごしやすい天候が続いていましたが、今日は急に寒くなりました。野暮用で、隣町まで自転車で向かったのですが、危うく凍え死ぬかと思いました(笑)

 

私は極度の寒がりでして(そして極度の暑がりなのです)、寒い日は暖房を効かせた屋内に引きこもりたいタイプであります。

そういえば、寒い日は、暖房の聞いた屋内でアイスなど、冷たい物を食べるのが最高の贅沢と言う人もいますね。そして、逆もまた然り。凍えるように寒い所で食べる温かい物の魔力は、計り知れないものがあります(笑)

 

温かくて美味しい食べ物など、枚挙に暇がないものですが、その中でも私は、何故か寒い日の”ラーメン”というシチュエーションに、何だか悪魔的な魅力を感じます。常々不思議に思っているのですが……(笑)

 

という訳で、本日は作家の描く”ラーメン”について、取り上げたいと思います。

印象的な”ラーメン”として、例えば、森見登美彦の「猫ラーメンがありますが、これは後日、夜は短し歩けよ乙女の映画公開が迫った時にでも紹介するとしまして(笑)、本日は、森見同様、現在大変人気のある作家、米澤穂信が描く”ラーメン”を取り上げたいと思います。

 

数々のミステリ・ランキングに毎年名を連ね、山本周五郎賞(個人的に、直木賞より信頼しています)、日本推理作家協会賞なども受賞しており、直木賞候補にもなった米澤。代表作としてまず筆頭に挙げるならば、やはり氷菓をはじめとする古典部〉シリーズになるでしょうか。

 

その〈古典部〉シリーズの最新刊、「いまさら翼といわれても」に収録されている「箱の中の欠落」に、実に美味しそうな”醤油ラーメン”が出て来ます。

 

俺の前に、醤油の香りもかぐわしいラーメンが置かれる。麺は細めの縮れ麺、スープは醤油色に澄んでいてチャーシューは二枚、メンマも二枚で、丼の中央には緑も鮮やかな茹でホウレン草がこんもりと据えてある。 

 

スタンダードな醤油ラーメンには変な癖がなく、やや塩気が多いようだが、そこがむしろラーメンを食べたという満足感に繋がっている。ラーメンにホウレン草を入れたことはなかったが、いざ食べてみると、どうしてこれまで入れてなかったのかと思うほど馴染んでいる。そして、これは良いのか悪いのか判断に困る点だが、どういう仕掛けなのかスープがやたらに熱かった。 

 

「醤油色に澄んでいて」というのが良いですねえ(笑)。そして「やや塩気が強い」。最近は健康のために塩分控え目……と言いますが、やはり”ラーメン”にはガツン!としたインパクトが欲しいです(笑)

 

いまさら翼といわれても

いまさら翼といわれても

 

 

オーソドックスな”醤油ラーメン”も嬉しいですが、これでは刺激が足りない!と言う方もいらっしゃるかもしれません。米澤の代表作として、〈小市民〉シリーズも有名ですが、これの二作目夏期限定トロピカルパフェ事件収録の、その名も「激辛大盛」では、主人公とその友人が”タンメン激辛大盛”を食べています。

 

赤いカウンターに、ぼくは肘をついた。厨房では店主がざるに大盛の野菜、ピーマン、にんじん、玉葱、キャベツにもやしを中華鍋にあけた。水分の爆ぜる派手な音が店中に響き渡る。

 

「はいよ、タンメン激辛大盛お待ち!」

……洗面器のようなサイズの丼に、まるでソフトクリームのような円錐状に、野菜がそそり立っている。スープも麺も見えないんですが……。 

 

何となく、巷で有名な蒙古タンメンを彷彿とさせます。間違いなく身体はポカポカ……を通り越して、汗がだらだらになりそうです(笑)

 

〈小市民〉シリーズは、それぞれ「春期限定いちごタルト事件」「夏期限定トロピカルパフェ事件」「秋期限定栗きんとん事件」、そして最新短篇「巴里マカロンの謎」があり、題名から分かる通り、様々なスイーツが出て来て、読んで美味しい、楽しい作品です。

ちなみに私のおすすめは、「夏期限定トロピカルパフェ事件」収録の「シャルロットだけはぼくのもの」。中々に完成度が高い逸品です。

 

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

 

コミカライズもされているそうです。

 

 明日も最低気温は零度になる予定らしいです。是非”ラーメン”を食べて身体を温めた後は、暖房の効いた屋内で読書……というのは、いかがでしょうか?

 

国分寺「紅」にて、 看板メニュー「紅ラーメンを頂きました。パンチのある具とスープに、主張の強い麺。中々美味しかったです(笑)

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