読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

コォヒィの文学小話

都内大学に通う国文学生が、自身の読書の記録を中心に、「本」に関する話題を書いています。

中島敦と食①と、おすすめの文学漫画

文学 読書 小説 料理

二〇一三年から連載が始まった朝霧カフカ、春河35による文豪ストレイドッグスが火付け役となり、現在は”文豪ブーム”のようなものが来ていると感じられます。最近話題のもので言えば、DMMのオンラインゲーム「文豪とアルケミストでしょうか。

 

文豪ストレイドッグス」について、私は友人に薦められて、チラッと目を通したに過ぎないため、作品について話せることはないのですが、主人公は、どうやら中島敦をモチーフにした人物であるようです。

 

中島と言えば、やはり、何といっても山月記で有名でしょう。その他には、細田守バケモノの子で用いられた悟浄出世なども有名でしょうか。

山月記」も「悟浄出世」も、中国古典が典拠にある作品です。中島家祖父の代から漢学を研究しており、中島も幼少期より漢学に親しんでおり、相当の知識があったようです。

 

中国文化で筆頭に挙げられるのは、国文生としましては「史記」や「三国志」、「水滸伝」、「聊斎志異」など、中国文学を挙げていくべきなのでしょうけれど……。

やはり、何といっても中華料理ですね(笑)

 

私のイチオシは、ずばり餃子であります。次点で肉まんなど……つまり、点心系が好きです。

ちなみに、私は先日鎌倉に行ったのですが、

hontocoffee117.hatenablog.com

 

鎌倉は”しらす”の有名な土地であるようで、当地では様々な”しらす料理”を食べることが出来るのですが、私が食べた”しらす料理”の一つに、「鎌倉点心」”しらすまん”があります。しらすの風味と塩気がマッチしていて、中々乙な味でございました。

f:id:hontocooffee:20170306145522j:image

”しらす”がたっぷりです。

 

話がそれました(笑)

さて、実は中島は、神奈川に大変縁の深い作家です。中島は横浜高等女学校(現横浜学園」)の教師をしていた経歴があります。中島の文学碑も、横浜高等女学校の跡地にあります。

hamabun.dreamside.net

 

中国古典を題材にした作品を書いており、また神奈川、それも横浜に縁が深いと来ましては、中華料理について言及してはいまいか、と考えたくもなります(笑)

 

そして、私の期待通りに、中島は中華料理を題材にした詩を書いておりました。「聘珍楼雅懐」という詩です。

「聘珍楼」と言えば、一三〇年以上の歴史を誇る横浜に本店を構える日本最古の老舗中華料理店です

www.heichin.com

 

「聘珍楼雅懐」は青空文庫にありませんし、短い詩ですので、この場で全文紹介することにします。

 

冬の夜の聘珍と聞けば大丈夫と思へる我も心動きつ
国つ仇と懲し伐つとふ国なれど唐の料理の憎からなくに
うましもの唐の料理はむらぎもの心のどかに食ふべかりけり
白く濃き唐黍スウプ湯気立ちてあら旨げやなうす脂うく
家鴨の若鳥の腿の肉ならむ舌にとけ行くやはらかさはも
大き盤に濛々として湯気立つ何の湯(スウプ)ぞもいざ味見せん
肉白き蟹の巻揚味軽くうまし/\とわが食しにけり
かの国の大人のごとおほらけく食すべきものぞ紅焼鯉魚は
甘く酸き匂に堪へで箸とりぬ今宵の鯉の大いなるかな
甘酢かけて食ひもて行けば大き鯉はやあらずけり未だ饜かなくに
冬の夜の羊肉の匂ふとかげば北京のみやこ思ほゆるかも
いさゝかに賤しとは思へどなか/\に棄てかたきものか酢豚の味も
みんなみの海に荒ぶる鱶の鰭に逢はで久しく年をへにけり

 

様々な中華料理が提供されまして、何とも贅沢な気持ちになれますねぇ(笑)

今日などはまた寒くなってきましたから、湯気の立った「唐黍スウプ」(中華風コーンスープ)なんて、まさに至福かと思われます。

 

 

最後に、”文豪ブーム”に乗り遅れないように(笑)、私が面白いと思っている文学作品を題材にした漫画を紹介します。

作品は片山ユキヲ「花もて語れ」です。小学館ビッグコミックススペシャルより刊行され、既に完結しております。

 内向的で、口下手な佐倉ハナが、朗読を通じて、徐々に変化していく、一種の青春漫画ですが、朗読の観点から文学作品の解釈を示しており、それが大変ユニークなんですね。取り上げられている文学作品も、宮沢賢治、火野葦兵、夢野久作など様々ありまして、またそれが、「花もて語れ」のストーリーとしっかり絡んでいます。読んでいて、実に楽しいですよ。

よろしければどうぞ。

 

花もて語れ(1) (ビッグコミックススペシャル)

花もて語れ(1) (ビッグコミックススペシャル)