コォヒィの文学小話

都内大学に通う国文学生が、自身の読書の記録を中心に、「本」に関する話題を書いています。

作家と天ぷら①ふやけた衣のうまさ……

約1週間ぶりの更新となってしまいました。最近少々ばたばたしておりまして、出来る限り2,3日に一度は更新を、とは思っているのですが(笑)

 

さて、3月23日は、日本を代表する食通、北大路魯山人の誕生日です。その他、「天才と狂人の間」で直木賞を受賞した杉森久英服部達、遠藤周作らとともにメタフィジック批評を提唱した村松剛なども、この日に生まれております。

 

杉森も、実は食に関する本を書いております。そもそも、杉森で最も有名な本は、「天皇の料理番」でしょうか(笑)

天皇の料理番 (上) (集英社文庫)

天皇の料理番 (上) (集英社文庫)

 

 

服部は〈第三の新人〉に対して、同時代人として最も適切な批評を行った人物ですので、〈第三の新人〉に興味のある方は、一度お読みになることをお勧めします。

われらにとって美は存在するか (講談社文芸文庫)

われらにとって美は存在するか (講談社文芸文庫)

 

 

 

さて、今回は魯山人と食について紹介しようと思いますが、食通で有名な魯山人(中でも納豆の話など)ですので、食に関する文章の多い事、どれにしようかと目移りしてしまいます(笑)

 

ですので、何かとっかかりはないかと少々調べたところ、毎月23日は、どうやら天ぷらの日であるとか。

元は7月23日に制定されていたそうですが、現在では毎月の記念日となっているそうです。

www.soba-udongyoukai.com

 

 

そういえば、先日国文学生の聖地、神保町に行きました。

神保町で天ぷらと言えば、私が直ぐに思いつくのは、「はちまき」「いもや」の二軒です。丁度、「はちまき」の方向に用事があったので(しかし食べる時間はありませんでした、無念です)、せめてと店舗の写真を撮ってきました。

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「はちまき」と言えば、何といっても江戸川乱歩ゆかりの店……、店の前に置かれていた名刺にも、しっかりとその旨が書かれています(笑)

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話がそれました(笑)

さて、魯山人の天ぷら話として、「料理メモ」、そして「てんぷら茶漬け」を紹介します。

 

まずは「料理メモ」から。こちらは「料理メモ」の名の通り色々なレシピが書いてありまして、その一つとして天ぷらが出て来ます。

 

*材料、種第一。えびが多いが、えびは養殖でなく天然のもので大きなものは不可。大きいのは見かけだおし。一匹七、八匁か、それ以下。
*揚げたて第二。てんぷらは揚げてすぐ食べなくては種がよくても味は落ちる。
*油第三。種がよくても油がまずくては不可。

*油は胡麻の古い貯蔵品が味がこなれていていい。

 

ちなみに、食べ方としては、「てんぷらに新鮮なだいこんおろし、これにしょうゆをかけて食べれば俗なだしに優る」と述べております。

 

ここで魯山人は「だし」を否定し「しょうゆ」を推している訳ですが、個人的には疑問が(笑)。というのも、「しょうゆ」って、中々主張の激しい調味料です。天ぷらの味わいなど吹っ飛んでしまうのでは……?と、思います(笑)

 

さて、お次は「てんぷらの茶漬け」です。魯山人って何故か茶漬けの話が多いんですよね(笑)。

 

揚げたてのてんぷらを茶漬けにするのはもとより差支えないが、本来、てんぷらの茶漬けは古いてんぷらの利用にある。 昨日の残りのてんぷらだとか、一旦、冷え切ったものを生かして食う食い方である。それにはまず火鉢に網を載せ、一旦、てんぷらを火にかける。いくぶん焦げができるくらいに火をあてる。それを熱い飯の上に載せ、塩を適宜にかけるのである。

(略)

ただ、ここに注意すべきは、てんぷらの茶漬けは甘いものを嫌うが故に、てんぷらのつゆをかけてはならぬ。必ず生醤油か、塩をかけるべきである。

 

こちらは非の打ちどころがありませんね(笑)。ただ、個人的には、少しだけ山椒をふりたいですかね。

 

さて、揚げたての天ぷらの衣は軽やかで、小気味が良い。サクサクと食べるのは何とも乙なものですが、タイトルで述べた通り、天ぷらそば、天丼、天むす、そして「天ぷらの茶漬け」のように、つゆや出汁を吸い込んで、ふやけた天ぷらの味わいも、また格別なものです。

理想としては、揚げたてをそのまま食べる際の衣は軽く、天ぷらそばなどつゆや出汁を吸い込ませることが前提の場合には、厚い衣の天ぷらであって欲しいです。衣がはがれて浮いている……なんてことがあると、少し興ざめしてしまいますから(笑)

 

魯山人「料理メモ」「てんぷらの茶漬け」は、青空文庫で読むことが出来ますので、よろしければどうぞ。

北大路魯山人 料理メモ

北大路魯山人 てんぷらの茶漬け