コォヒィの文学小話

都内大学に通う国文学生が、自身の読書の記録を中心に、「本」に関する話題を書いています。

村上春樹と最後の晩餐

お題「人生最後の日に食べたいご飯を教えて下さい。」

 

前回に続きまして、最後の晩餐ネタでいこうかと思います。

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 最も前回は、あまり食べ物について触れていませんでした(笑)

ですので今回は、とある作家の最後の晩餐のメニューをご紹介しようかと思います。

 

現在生存している中で日本で最も有名な作家と言えば、やはり村上春樹になるかと思います。以前紹介しました通り、村上の作品にはサンドウィッチが頻出します。

 

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村上のサンドウィッチ好きは有名ですね。もう一つ村上の食として有名なものとしては、スパゲッティが挙げられます。短篇小説として「スパゲティーの年に」というものまであります。電話の女に向けて、

 「悪いけど、今スパゲティーを茹でているところなんだ」

 と話す男。この場面、どこかで聞いたことあると言う方は多いんじゃないでしょうか(笑)『カンガルー日和』に収録されています。

 

カンガルー日和 (講談社文庫)

カンガルー日和 (講談社文庫)

 

 

 

サンドウィッチやスパゲッティー、このように村上の食というものは、どこかおしゃれな印象があります。それは作品にも言えることで、私の友人などはそれが嫌いだから村上の作品は読めないなどと言っていたりもします(笑)

 

そのような村上ですが、最後の晩餐に選ぶものはちょっと意外なものです。

例えば『村上朝日堂』(昭和六十二年)収録の「付録⑴ カレーライスの話」に、次のようにあります。

もう十年ほどまえになるけれど、ヨーロッパを転々と旅したことがあって、この時も例の禁断症状におそわれ、もしかしたら飛行機をエアー・インディアにすれば機内食にカレーライスがでるのではないかと思い、予約していたTWAの飛行機をキャンセルしてエアー・インディアのカウンターに冷汗でとびこんだことがあった。機内には確かにカレーライスはあったけれど、日本で食べていたものとはまったくちがった味をしており、なんか気持わるくなってきて薬と水をもらって眠ってしまった。

 

 ぼくにもしも最後の晩餐がゆるされるのだったら迷うことなく注文する。カレーライス、赤い西瓜ひと切れ、そして冷たい水をグラスで一杯。

 

 これは中々素晴らしい最後の晩餐だと思いませんか?

昨今ではインドなど諸外国のカレーが日本でも幅を利かせており、確かにそれも非常に美味しいのですが、やはり日本人が最後に行きつくのはカレー粉から作る日本的なカレーライス……だとおもいます(笑)

 

しかし、最近では食べたいもの変わった様子。2015年に公開されていた村上のウェブサイト「村上さんのところ」。この時村上は、企画として読者とのメールのやり取りをしていたのですが、ここで最後の晩餐に何を食べたいか聞かれた村上は、次の様に答えております。

僕は人生最後の食事には、やはり鍋焼きうどんが食べたいです。冬場はもちろん、夏でも頑張って鍋焼きうどん。店はどこでもいいです。ぜいたくは言いません。「増田屋」でもかまいません(ごめんね、増田屋)。

増田屋はチェーン店ではありませんが、暖簾分け形式で、日本各地に店があります。つまり村上が言いたいのは、「特に店の格式などに拘りはない。鍋焼きうどんさえ食べれれば」ということなんでしょうね。

 

村上は中々ユニークかつユーモアのある人で、「村上さんのところ」で返信した」メールの内容は、中々粒ぞろい(笑)。本にもなっています。

 

カレーライスと鍋焼きうどんで思い出されるのは、何といってもやはりカレーうどん。昨日今日と何だかじめじめしておりますので、こういう時にはズズッ!と食べたくなります(笑)