コォヒィの文学小話

都内大学に通う国文学生が、自身の読書の記録を中心に、「本」に関する話題を書いています。

文庫に関するあれこれ

本日は獅子文六の誕生日です。獅子文六といえば大衆文学界の大御所というべき存在です。全集もしっかり刊行されております。

 

獅子で近年話題になった作品と言えば、やはり「コーヒーと恋愛」でしょうか。三島由紀夫「命売ります」が話題になったちくま文庫ですが、それに付随した形ですかね。

コーヒーと恋愛 (ちくま文庫)

コーヒーと恋愛 (ちくま文庫)

 

 

ちくま文庫というのは中々ユニークな文庫でして、例えば阿川弘之「カレーライスの唄」であったり、深沢七郎尾崎翠といった通好みの作家の文庫版選集や全集を刊行してみたり、毎月新刊予告には目が離せません(笑)

 

最近私が好きなシリーズは「教科書で読む名作」シリーズでして、例えばこれは三刊行のプロレタリア文学集ですが、葉山嘉樹黒島伝治らの作品が収録されております。

 

 

さて、あまり有名ではないですがユニークな文庫レーベルとして、グルメ文庫なるものがあります。出版社は角川書店でして、主なラインナップは作家の食に関する随筆です。例えば獅子なら「わが食いしん坊」があり、開高健なら「食の王様」や「巷の美食家」、吉行淳之介なら「ダンディな食卓」です。吉行のものは未読ですが、どの随筆をチョイスしたのか気になります。

私が好きな吉行の食に関する随筆はあんぱんや鮭缶の話なので、恐らく入っていないでしょう(笑)

 

文庫本が好きな理由に、その文庫本の趣旨に合わせ、その作家のどの作品を選び、どのような一冊に仕立てたのかという、新年の福袋的な楽しみができるということがあります。

そして安価であり、持ち運びがしやすいこと。単行本の装丁も重厚感があり嫌いではないですが、現代のは昔ほど自由がなく、個性に乏しいですから、あまり私は重視しなくなりました。

例えば文庫本からは離れますが、開高は昔「フィッシュ・オン」を刊行した時、限定30部で装丁に鮭の皮を用いたものを作成したそうです。出久根達郎の「作家の値段」にありましたが、大変貴重で、現在も高値でやり取りされているそうです。私などには到底手が出ません(笑)